OUT~30にして隠居す~

30にして脱サラし隠居したある男の話

20代を捨てて得たもの、失ったもの

前述の通り私は20代を捨てた。

さらに言えば10代も捨てていた。内向的で目立たない生徒だったし、高校では受験に目覚めたがそれだけの話、楽しいことなど何もなかった。あえて言うなら模擬試験でトップクラスになり図書券をもらうのが楽しかった。

20代は、ただひたすら通勤をし、耐え、耐え、ただ耐え、安月給をすべて貯金した。飲み会などは一切いかず、交際も絶った。服も買わず、ひたすらに節約し、来るべき起業の時を待った。

一方で、大学時代にヤフオクビッダーズ(なつかしい)を愛用し数十万程度の貯蓄をしていた経験もあって、実家の不用品などをどんどんヤフオクで処分しコツコツとこれも蓄えに回していった。

また、いずれ起業するならば慣れ親しんだ物販が良いと考え、いくつかのサイトを運営していた(といっても月に一つも売れていなかったが)。

大学卒業と同時に開店休業になっていたが、もしかすると何年か続けていれば成長するかもと考え、家族にサイトを譲ることにした。

SEOにしてもブランド認知にしても、一朝一夕では成果が出ない。20代は捨てるとは言え、ただただ時が流れるのを待つのではもったいない。

上手くいけば、脱サラ後にサイトを返してもらうつもりであった。

 

結局、30手前にして、相応の貯蓄が生まれ、ある程度どんな分野でも起業できる程度の額となった。一方で、もともとなかった人付き合いをさらに絶っていったため、携帯のアドレス帳は自宅のみとなった。文字通り、20代のすべてを捨てたのだった。

 

こう書くと悲壮な感じになるが、10代からもともと捨てていたようなものなので、延長試合になったような感覚でさほど当人には刺激はない。

もはや感覚がマヒしているといってよい。